基礎体温計測のすすめ

基礎体温計測は、不妊症や月経異常などの治療には不可欠で、欧米では 19世紀末から20世紀はじめにかけて、女性は体温の変化に伴い、種々の生理現象にも変動が起こることが 認められていました。 わが国では1924年に「オギノ式」で知られる「荻野学説」が発表され、1957年には故松本清一先生が 「産婦人科の世界」に「基礎体温」を発表し、婦人科領域の検査法として長く活用されてきました。 妊娠目的での利用をはじめ、卵巣機能の把握、排卵の確認、月経の予測など女性の生活リズムを知る という点からもその意義は高く評価されています。

一方、働く女性の増加と共に、晩婚・晩産化、そして少子化と、女性を とりまく社会環境の変化は著しく、その影響も含め、改めて女性の健康が注目されています。 またこれまで、月経周期を把握し健康管理に活用するために、より簡便な基礎体温計測が切望されてきました。 最近では、女性の負担をできる限り取り除いた計測機器が模索され、従来の舌下で10分計測から、 より短時間での計測、データの自動記録、睡眠中計測など、簡便な基礎体温計測機器やサービスシステムが 次々と開発されております。

基礎体温は、排卵性周期と無排卵性周期の切り分け、排卵期の推定、黄体機能 不全の診断、妊娠の早期診断などに役立ちます。 また簡便な卵巣機能の診断、月経異常、不正出血、不妊治療などに広く用いられておりますが、一番のメリットは、 女性特有の周期性変化を自分自身ではっきり認識できる ことです。

妊娠・避妊目的のみならず、月経をポジティブに捉え、月経周期に伴う種々の 症状のセルフケアをはじめ、女性性の確立、スケジュール管理、ワークライフバランス、更年期対策まで 幅広く活用することが可能です。 基礎体温計測を日常にすることで、女性としての自分の身体にむき合い、健康で充実した人生を過ごすために、 すべての女性にお勧めしたいと思います。